持久力の科学

【要約】

粘り強さ(持久力)を身につけるトレーニングについてはねばり強さ=強度×時間×頻度で表す事ができる。

運動強度が十分高ければ、運動の時間長いほど、また頻度が高いほど、トレーニングの効果が大きい。

トレーニングの強度・時間・頻度の3条件のうち、強度の条件がトレーニング効果にもっとも影響を及ぼすが、ねばり強さの改善にも限界がある。

強度なトレーニングをすれば、トレーニング初期では直線的に増加するが半年〜1年間のトレーニングで一定の水準に落ち着き、やがて個人の遺伝的に決定された上限にまで達する。

半年〜1年間の短時間で高負荷のインターバルトレーニングが効率的なようである。

(詳細)

【運動強度とトレーニングの効果】

11-13歳の少年に自転車エルゴメーターを用いて12分間の運動を行わせた実験がある。運動中の心拍数が、130-140拍/分・150-160拍/分・170-180拍/分となる3グループでトレーニング効果の比較を行った結果、170-180拍/分でレーニングしたグループにおいて最大酸素摂取量の増大が認められ、強度の高い運動によってねばり強さが改善されることがわかる。

【運動時間・頻度 とトレーニング効果】

運動の時間と頻度とトレーニング効果を調べたものとしては、最高心拍数の85-90%の心拍数で、ジョギングを20週間行わせた報告がある。運動時間の影響を比較するグループではそれぞれ1回15分・30分・45分の運動を週3日実施した。運動頻度を比較するグループでは、30分間の運動をそれぞれ週1日・3日・5日実施した。すべてのグループにおいて、運動成績・最大酸素摂取量ともに増加があったが時間の長いほど、また頻度が高いほどトレーニングの効果が大きかった。

以上の報告から、運動強度が十分高ければ、運動の時間長いほど、また頻度が高いほど、トレーニングの効果が大きいといえる。

ねばり強さのトレーニングの代表例として、エンデュアランス・トレーニングと,インターバル・トレーニングがある。エンデュアランス・トレーニングは、休息なしで30-60分間ほとんど同じ強さの運動を反復するトレーニングで、強度は高いほうがより効果的であるが、30-60分間運動を継続できる強度は最大努力の60-70%程度でありそれ以上の運動強度でのトレーニングは不可能である。

この代わりの方法が、インターバル・トレーニングである。これは最大努力の80-90%に相当する強度の運動を、休憩をはさんで10-20回反復するトレーニング法である。運動時間は30-90秒で、休息期間に心拍数が120-140拍/分まで低下するように実施するのがよい。インターバル・トレーニングでは、時間条件よりも強度条件のほうがトレーニング効果に大きな効果をもたらすといえる。

【トレーニングの効果と限界 】

非常に高い頻度と強度でトレーニングを行えば、一般人でも最大酸取量は相当高い水準まで改善される。トレーニングの強度・時間・頻度の3条件のうち、強度の条件がトレーニング効果にもっとも影響を及ぼす。

しかし、ねばり強さの改善にも限界がある。事実、一流の長距離選手やマラソン選手では、トレーニングの強度・頻度・持続時間とも長いが、最大酸素摂取量はトレーニングによってそれほど改善されない。したがって、最大能力が発現するような強度なトレーニングをすれば、最大酸素摂取量は、トレーニング初期では直線的に増加するが半年〜1年間のトレーニングで一定の水準に落ち着き、やがて個人の遺伝的に決定された上限にまで達する。

参考文献 トレーニングを科学する

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