『足がつる』の生理学

【要約】

本来は自動で収縮の強さが調整されるが、何らかの原因により筋肉への収縮命令が一方的に送られている状態。足のつりの原因は十分には分かっていなく下記の理由が考えてられる。

(詳細)「足がつる」というのは、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋) がけいれん強く収縮した状態で、「こむらがえり」ともいわれる。

筋肉の収縮は、脊髄からの収縮指令が電気信号の形で運動神経を通って送られることにより起きるが、正常な状態であれば、この収縮の程度が筋肉、腱、関節にある受容器(レセプター)からフィードバックされ、収縮の強さが自動的に調整される。

しかし、なんらかの原因によってこの調節がうまく行われず、筋肉への収縮指令が一方的に送られる状態が「筋けいれん」である。

運動中の筋けいれんの原因は十分に明らかにされているとはいえないが、以下のようなことが考えられる。

①まわりの温度の急激な変化:主として水に入って急に外部温度が下がった場合に足を動かすとき。

②体内の水分不足:多量の発汗があるにもかかわらず水分を補給しなかったとき。

③体内の電解質の喪失:発汗や栄養不足による体内の電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム)のバランスが崩れたとき。

④血行障害:たとえばテーピングをきつく巻きすぎたとか、水着やウェアーがきついとき。

⑤疲労しているとき。

⑥ ウォーミング・アップが不足したとき。

⑦神経的緊張が強くなりすぎたとき。

【手当】運動中に足の筋けいれんが起こった場合には、まず上にあげた原因のうち可能なものを取り除き、強く収縮している筋肉をゆっくりと伸ばすことが先決である。

このさい、あまり強くやりすぎると筋肉を痛め、ひどいときには筋断裂をきたすことがあるので注意する。

水泳中に起こってもあわてずにこれを行う。

ある程度けいれんがおさまったらマッサージやストレッチングを行うとよい。

【予防】筋けいれんの予防としては、

①ストレッチングを含むウォーミング・アップを十分に行うこと。

②発汗の多いときには水分を十分に補給すること。

③毎日野菜や果実を多くとり,栄養の偏りをなくすこと。といったことがあげられる。

参考文献 スポーツ障害・救急ハンドブック

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