ラグビー日本代表ヘッドコーチ
エディー・ジョーンズ著
『プレッシャーの力』より
“アウトサイダー”としてこれまで生きてきたが、誰かに「嫌われるかもしれない」というプレッシャーを感じたことはない。
それは「自分を貫く勇気」が私にはあったからだ。
自分を信じて、自分自身であり続ける。
多くの日本人は他者から好かれたいと思うあまり、いつも他人の顔色をうかがって生きている。
その結果、自分であることを貫けない。
選手はもちろん、コーチ陣もそうかもしれない。
自分を貫くために必要なのはやはりハードワークだ。
ハードワークを続けると「自信」が生まれる。
自信はやがて「信念」へと変わる。
そして信念があれば自分を貫きさらなるハードワークに立ち向かうことができるのだ。
そもそもプロ指導者たるもの、選手に「好かれたい」などと思ってはいけない。
指導者は孤独な職業である。
経営者と従業員がそうであるように、指導者と選手は同じ気持ちを共有することは絶対にできない。
選考で落とされた選手と、その決断を下した私が同じ気持ちになれるはずがない。
そんなことはこの道を選んだ時点でわかりきっていた話だ。
逆に聞きたい。
選手たちから孤立して、何の問題があるのか。
むしろ指導者こそ孤立しなければならない。
感情と自分の仕事を切り離すということだ。
たとえば代表のヘッドコーチとして、キャンプに30人招集する。
月曜日には30人の選手全員に「君が必要なんだ」と声をかけハードワークに当たらせる。
しかし木曜日にはそこから7人を落とし、23人のメンバーを選ばないといけない。
感情的に距離を置かなければそんなマネはできない。