子どもの不調の治療をする上で、気をつけていることのひとつに「与えるのではなく、引き出す」ということがあります。
私も最初は自分の持っている知識や情報を伝えてより良い方向に向かって欲しいという思いが強く、誘導しようとしてしまっていました。
しかし、コーチングについて学ぶ機会があり、ティーチングとコーチングの違いを知りました。
ティーチング: 知識や情報を伝えて正解を教えること
コーチング: 質問など問いかけることによって気づきを得てもらうこと
その時、私は治療の中で教えたり、情報を与え続けていて、与えると子どもたちは口を閉ざすことに気づきました。
子どもたちの治療を通して感じるのは、彼らは自分たちの考えや思いをしっかり持っているということです。
ただ、まだ上手く言葉に表現できなかったり、言葉にしてきていないだけ。
なので、私から子どもたちに教えたり、与えるのではなく、本人が考えるためのサポート、新しい視点を加え、引き出すことを心がけています。
そうすることで、最初は話さなかった子どもたちが少しずつ言葉にしたり、思いを伝えてくれるようになりました。
ある中学生は、学校に行けない間も遊びに誘ってくれる友達から実は心無いことを言われていたことを、
家で5年くらい話さなくなっていた高校生は、私が色々質問を投げかけ、答えるまで待つので、「2年分くらい話している」と言うほどたくさん話をしてくれるようになり、
親にほっとかれていると感じていることを打ち明けてくれました。
今は情報に溢れている世の中で、子どもたちは情報を与えられすぎているのではないかと思います。
与えられた情報よりも、自分自身の中から出てきた言葉の方が何倍も意味・力ががあるということを子どもたちから教えてもらっています。