新型コロナウイルス感染症流行下の身体活動不足・座りすぎ対策

20204月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策による外出自粛要請に伴い、身体活動不足や座りすぎによる健康被害を防ぐため、日本運動疫学会において声明が発表されました。

「新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針」を受けて、国民の外出自粛に対する認識が高まっています。

感染拡大の防止が最優先事項ですが、外出自粛を「家の中でじっとしていること」と解釈してしまうことに よる著しい身体活動不足や長時間の座りすぎによる健康被害が懸念されます。日本運動疫学会は、運動および身体活動と健康に関連する疫学研究を発展させ、研究成果を社会に還元し、人々の健康の 保持・増進に寄与することを目的に活動している学会であり、このような状況にあっても、人々が自らの心身を 健康に保つために、自らの感染や感染の拡大防止に充分に配慮した上で、身体活動の実践や座りすぎの 防止に取り組むことを推奨する声明を発表します。

声明の背景

世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的な大流行(パンデミック) の状態であり、すでに全世界の 10 万人以上が死亡したと報告しています。そして、このパンデミック によって多くの人が家の中にとどまることは、身体活動および社会的交流の減少をもたらし、身体的 および精神的健康に悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

このような状況にあっても、少しでも身体活動を増やし座位行動を減らすことは、心身の体調を整え、感染を予防する上で重要です。また、長期的には体重の適正化や生活習慣病のリスク軽減に貢献します。 さらに、身体活動は、骨の強度や筋量を維持し、筋力を向上させ、バランス能力や柔軟性、持久力を 向上させます。このことは、高齢者にとっては、バランス能力を改善し転倒やけがを防ぐのに役立ち、2020418日に日本運動疫学会は、新型コロナウイルス感染症対策における外出自粛の要請にともなう 身体活動 不足や座りすぎによる健康被害を防ぐために、「家の中やその周辺において 人と人との距離を充分にとって実施する身体活動」を推奨します。

子どもたちにとっては、健康的な発育発達を促します。そして、身体活動やスポーツを通して、子どもたちは基本的な運動スキルを発達させると同時に、社会性を身につけることもできます。また、身体活動は、メンタルヘルスを改善し、うつ病や認知機能低下のリスクを軽減することで認知症の発症を遅らせます。

COVID-19 の感染拡大の防止が最優先事項ですが、著しい身体活動不足や長時間の座位行動の危険性に気づかずにいることは、パンデミック後の社会で大きな健康問題になることが予想されます。また、今回の出来事がきっかけとなって、不活動や座りすぎが人々の習慣として定着してしまうことが懸念されます。そこで、日本運動疫学会は、外出自粛期間における身体活動の実践や座りすぎの防止に取り 組むことを推奨する声明を発表します。

年代別にみた身体活動や座位行動に関する推奨

(1)全世代

家の中やその周辺において人と人との距離を充分にとって実施する身体活動を推奨します。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」は全世代に向けて「プラ 10(テン)」、まずは今より 10 分多くからだを動かすことを奨励しています。ご自身の世代で 奨励された身体活動量に向けて「プラス 10」してみましょう。少しでも良いので、それぞれの 世代で奨励された身体活動量に向けてチャレンジしてみましょう。

(2)幼児期

文部科学省の幼児期運動指針は「毎日、合計 60 分以上、楽しく体を動かすこと」を身体活動量の 目標として奨励しています。子どものいる家庭では、一緒に公園で遊んだり、家の周辺を散歩し たりすることで、家族みんなの健康を維持しましょう。他の人が触っている可能性がある遊具は 触らないようにするか、触った後は必ず手を洗うようにしましょう。

(3)6 ~17

1 60 分以上の身体活動」が奨励されています。屋外で他の子どもとの接触が少ない運動や 家の中でテレビや動画を利用した運動を行いましょう。遊具等にはできるだけ触れないこと、 顔を触らないこと、触った後は必ず手を洗うようにしましょう。

(4)18 ~64

「アクティブガイド」は「1 60 分、元気に体を動かすこと」を身体活動量の目標として奨励しています。家の掃除なども身体活動です。生活のさまざまな場面で活動的に過ごしましょう。

(5)65 歳以上

「アクティブガイド」は「1 40 分、ゆっくりでもいいので体を動かすこと」を身体活動量の 目標として奨励しています。座りすぎを避け、人が少ない場所での散歩など、さまざまな場面で 体を動かす工夫をしましょう。毎日、ラジオ体操やテレビ体操を行うことを習慣化するのもいい でしょう。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-09-001.html