発育・加齢と身体活動量

日本では、130分以上の「運動」を少なくとも週2回以上、1年以上継続している者の割合は、成人男性で36%程度、女性で29%程度に留まっています。日本人は概ね運動不足という言葉があてはまると考えられます。また特徴として、男女とも60代、70代の運動習慣者の割合が平均値よりも高い一方で、男性では30代が、女性では20代が最も低い割合を示しています。

「運動」ではなく、1日の歩数から国民の身体活動状況をみてみましょう。すると、成人男性で7000歩程度、女性で6000歩程度であることがわかります。したがって、国民全体としてみると身体不活動であると考えられます。

それでは、このような成人期の不活発なライフスタイルは、いつどのように形成されていくのでしょうか。成人期の運動習慣を含めた日常行動は、幼少期や思春期の経験(運動習慣やライフスタイル)の影響を受け、形成されていくと考えられます。このような子ども時代の運動経験等が成人期以降の身体活動状況に影響を及ぼすこと(持ち越されること)をトラッキングと呼んでいます。

ある研究では、14歳時点のスポーツの実施状況(週当たりの実施頻度)が31歳時点での身体活動状況を決定する可能性を報告しています。つまり思春期の時点で、運動習慣がしっかりと定着していることや、また運動・スポーツに好意的であるかどうかなども重要なポイントになりそうです。

そこで注目したいのが、児童期から思春期頃までの運動習慣率や運動・スポーツへの意欲・関心についての調査結果です。日本の児童・生徒(小学5年・中学2年)の運動実施状況は、1週間の総運動時間60分(110分弱)にも満たない者が男子で7.2%(小5)および6.9%(中2)、女子で13.3%(小5)および19.8%(中2)です。

児童期から思春期にかけて二極化の実態が起きる原因を考察する上でポイントになる視点が、子どもの運動やスポーツ、あるいは体育授業への意欲や態度だと考えられています。東京都の調査結果によると、「運動やスポーツをすることは好きですか」という質問では、男子では「ややきらい」もしくは「きらい」と答えた子どもの割合が小学1年生で4.8%であったのが、小学6年生で8.6%、中学生3年生で12.5%、高校3年生で14.1%と学年進行に伴い増加していることがわかります。女子ではさらに顕著な増加傾向がみられます。

上述の調査の結果から推察されることは、運動やスポーツに付きものである、「優劣」、「勝敗を重視する志向」、「練習等の厳しさ」がそのような意欲や態度を形成させているのではないかということです。そのように考えると、成人期に運動やスポーツの習慣を定着させるための土台づくりは、思春期の頃というよりもむしろ幼少期や児童期にあり、身体を動かすことの喜びや楽しみを存分に味わえる実施環境の構築や整備がとても大切であると考えられます。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-03-002.html