ツボの取り方

ツボというものは、前に述べたようにただ漠然とどこにあるのかと探すものではありません。

またどの骨から何寸、何センチと寸法が定められていても、なかなか判りにくいものです。

しかしながらその部位を簡単に知り、しかも容易に測ったり定めたりする手段のあることは、今まで例をあげて述べた通りであります。

これならだれでもやさしく知ることができますが部位が判っても、そのままそこを穴所としないで、そのところを指頭でギュッと圧しますと、しんにこたえて痛いけれど、何となく快よい感じがあったら、それは丁度ツボにあたったことになります。

古書に「分寸を量りて経穴を定め手をもって点ずべき穴所を推し、痛ましむるに、手の下陥かにして、痛みの病人に心に快よく達するところは、これ経穴(ツボ)に的するの症なり」と記述されているのは、このことをいっているのであります。

また霊枢経筋篇、これは中国の古い鍼灸医学書ですが、その古書の中に「痛むをもって兪となす」と記されてありますが、これも同じように、経穴を定めたらばそのまま用いるのではなく、そこを按圧して応えるか否かを験べて、快痛が応じたならば、そこを経穴とするのだというのです。

灸をすえますときには経穴は大切なものですが、このようにして決定するのです。

そしてこの心得をもって今まで述べました経穴の取り方要領を参考にして、病気の治療に応用していただきたいと思います。

深谷伊三郎著より

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